REHABILITATION 回復期リハビリテーション病棟

回復期リハビリテーション病棟について

脳卒中の脳血管障害や骨折の治療のために急性期での治療を受けて、病状が安定し始めた、発症後1~2ヵ月後の患者様を、専門のリハビリスタッフによる集中的な訓練(リハビリテーションを行うことで、低下した能力を再び獲得し、各患者様に対して医師・看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・介護福祉士・ソーシャルワーカー・薬剤師・管理栄養士等が、リハビリテーション計画に基づき、集中的なリハビリテーションを提供いたします)により機能回復や日常生活で必要な動作の改善を図り、家庭復帰・社会復帰を目指す病棟です。

歯科衛生士が病棟に勤務しており、全入院患者様の口腔機能面や口腔清掃状態(ブラッシング・義歯着脱・うがい)の評価を行い、多職種と連携を取りながら、日々口腔ケアを実施しています。
入院中の口腔内トラブル(歯科的対応)については、連携歯科医師とできるだけ早期に対応できるように進めています。
病棟所属している薬剤師がおり、患者様の定期的な薬剤指導や内服管理の評価や退院時の最終薬剤指導を行っています。
口から食べることを目的に、管理栄養士が直接食事場面に出向き食事量等の確認を行っています。多職種と連携し、リハビリの進行具合に合わせた栄養量の評価を行い患者様のサポートをします。

当院の取り組み

  • リハビリの目標は一人ひとり異なり、患者様の家庭復帰・社会復帰を支援します。
  • 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が常駐し、日曜・祝日を含め、365日24時間リハビリテーションを提供いたします。
  • 病棟内にリハビリテーション設備を有し、フロア内で訓練ができます。
  • 理学療法士・作業療法士・言語視覚士によるリハビリテーションは1日最大3時間まで提供が可能です。(対象疾患により2~3時間)
  • 入院期間は原則として3ヵ月ですが、退院日は医師が病状を判断して決定します。家庭復帰・社会復帰のためには入院後の1~2ヵ月が勝負です。ご家族様・周囲の方々のご協力が患者様の回復に大変重要になります。

リハビリテーションの種類

  • 急性期リハビリ

    病気の発症や悪化による生命の危機、障害が進行する時期などに応じて行うリハビリです。

  • 回復期リハビリ

    生命の危機から脱し、刺激や運動による負荷に耐えられる時期に行うリハビリです。日常生活に必要な機能の改善、能力の回復が期待できます。

  • 生活期リハビリ

    在宅や施設で日常生活を送る際に必要な機能に対するリハビリを行います。
    身体的・精神的・社会的に適した身体機能の維持や向上をめざします。

当院では回復期リハを中心とした医療を行っています

早期リハビリテーション・回復期リハビリテーションの必要性

早期リハビリテーションの目的は、病気の急性発症後に生じる機能低下のリスクを抑えることにあります。これは、病気の悪化や障害の進行を注意深く管理しながら実施されます。適切なリハビリを早急に行えれば、その後の回復に非常に大きな影響を与えるため、極めて重要な要素です。
一方、回復期リハビリテーションは、病気の進行が停止し、急性期の危機が過ぎた後の段階で重要になります。急性期病院の主な目的は「命を助ける」ことであり、生命の危機を脱せば治療を終了するケースが多くみられます。しかし、患者様の多くは心身のダメージが残っており、元の生活にすぐ戻れない可能性もあります。
全身の状態が安定したとはいえ、麻痺や能力低下などの症状はすぐに回復しません。機能回復が引き続き期待できる期間が続く点を考慮すれば、この時期に集中的なリハビリにより身体機能や日常生活活動の改善が望めるのです。この取り組みが回復期リハビリテーションであり、重要性が非常に高いといえます。

在宅生活にむけての準備の重要性

リハビリが一定の段階に達すると、入院から自宅での生活にできるだけ早く移行します。以前の生活にスムーズに戻れるように、退院日が決まると試験的な外出・外泊を実施し、日常生活と生活上の問題点をチェックします。その後、在宅生活への適応と自立に向けた準備を進めます。
トイレや風呂、台所などの生活空間を使いやすくするための改修や福祉用具の整備など、患者様のニーズに合わせた環境整備が重要です。

回復期リハビリテーション病棟の対象患者

対象疾患 入院期間
脳血管疾患、脊髄損傷、頭部外傷、くも膜下出血のシャント術後、脳腫瘍、脳炎、急性脳症、脊髄炎、多発性神経炎、多発性硬化症、腕神経叢損傷(わんしんけいそうそんしょう)等の発症後もしくは手術後、又は義肢装着訓練を要する状態 150日
高次脳機能障害を伴った重症脳血管障害、重度の頸髄損傷および頭部外傷を含む多部位外傷 180日
大腿骨・骨盤・脊椎・股関節もしくは膝関節の骨折、または2肢以上の多発骨折の発症後、または手術後の状態 90日
外科手術又は肺炎などの治療時の安静により廃用症候群を有しており、手術後又は発症後 90日
大腿骨・骨盤・脊椎・股関節または膝関節の神経、筋又は靭帯損傷後 60日
股関節又は膝関節の置換術後の状態 90日
急性心筋梗塞、狭心症発作その他急性発症した心大血管疾患または手術後の状態 90日

回復期リハビリテーション病棟での入院生活

回復期リハビリテーション病棟では、集中的なリハビリで寝たきりの防止をめざしております。患者様が抱える障害の回復を促進し、自宅での生活再開を目標とする役割があります。
この目標に向かい、入院期間中に「生活の再構築」を計画的に進め、地域生活へのスムーズな移行をサポートします。さまざまなな専門職の連携とチームワークを強化し、退院後の生活を見据えて、患者様の自分らしい生活を一緒に作ることが特徴です。

入院から退院までの流れ

  1. Step01入院当日初期評価

    多職種(看護師・リハビリ・医療ソーシャルワーカー)が入院時の患者様の心身の状態を評価し、ご家族様からもさまざまな情報を収集した上で、病棟での治療・日常生活援助・リハビリを開始いたします。

  2. Step02初期カンファレンス

    各担当スタッフの評価をもとに、患者様の状態や目標について入院から1週間以内に話し合います。評価から課題を明らかにした上で、リハビリテーションプログラムを計画・立案します。内容は患者様とご家族様にもご説明し、ご同意をいただいてから本格的なリハビリに移行します。

    評価
    • FIM・MMSE・日常生活機能動作・栄養アセスメント・身体機能評価
    • 褥瘡発生リスク・転倒転落アセスメント・はつらつチェック・摂食嚥下評価
    • 口腔内アセスメント・排泄アセスメント・入浴アセスメント

    入院1ヵ月後に、現状の確認と説明及び必要に応じて目標の再設定を行います

    初期家屋評価

    入院されてから1週間程度で患者様のご自宅に担当スタッフが訪問し、生活に応じた環境・獲得動作を早期に調査し、必要に応じたリハビリテーションを計画・実施をいたします。

  3. Step03退院前カンファレンス(ご本人・ご家族様と各担当スタッフ)

    退院先や退院日を決定いたします。

    退院前家屋評価、外出訓練、試験外泊

    退院後生活される環境の中で、動作確認をしていただきます。

    サービス担当者会議

    退院に向けて、ケアマネージャーと共に患者様の状況などに関する情報を在宅サービス担当者と共有するとともに、退院後の提供サービスの確認を目的に開催されます。

入院中の1日のスケジュール

  1. 6:00

    起床

  2. 7:00

    バイタルチェック

  3. 7:30

    モーニングケア(整容・更衣・トイレ)

  4. 8:00

    朝食(食事動作確認)・口腔ケア

  5. 9:00

    午前の個別リハビリ開始

    レッドコードトレーニング(健康運動指導士による集団訓練)・アニマルセラピー・音楽療法

  6. 11:30

    嚥下体操(言語聴覚士・歯科衛生士による)

  7. 12:00

    昼食(食事動作確認)・口腔ケア

  8. 13:00

    午後からの個別リハビリ開始

    レッドコードトレーニング(健康運動指導による集団訓練)

  9. 15:00

    ティータイム(火曜・木曜)

  10. 17:30

    集団体操(立ち上がり・家事動作)

  11. 18:00

    夕食(食事動作確認)・口腔ケア

  12. 18:30

    イブニングケア(整容・更衣・トイレ)

  13. 20:00

    バイタルチェック

  14. 21:00

    消灯

※入浴については、女性は午前・男性は午後からになります。
※ご自身でも行っていただける自主訓練もお伝えいたします。

病棟体制

医師 内科ドクター、リハビリ専門ドクター、整形ドクター、神経内科ドクター
セラピスト 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士…16名以上
看護師 13:1
看護補助 20:1

患者様とご家族を加えたチーム医療体制

患者様とそのご家族を支える医療チームは各病院・病棟により違いはありますが、主に9つの職種から成り立ちます。
それぞれの立場から回復期リハビリテーションでの役割を持ち、医療・介護サービスを行っています。

  • 医師

    患者様の状態を診断し、適切な治療方法をご提案いたします。入院中の急変や手術が必要になった際は、連携病院への速やかな紹介につなげます。また、他の診療科の医師・看護師・管理栄養士とも協力し、患者様の健康状態や栄養状態を管理します。

  • 看護師

    入院生活もリハビリの一環であり、日常生活への復帰に向けたサポートを行います。また、患者様の心のケア・療養上のサポートや退院後の生活指導、医師の診察補助なども看護師が担っており、医療において多岐にわたり貢献しています。

  • 管理栄養士

    リハビリを行っていく上で、栄養バランスの整ったメニューと食事を提供し、食を通じて入院生活を支えてくれるのが管理栄養士です。食材や調味料にも配慮し、一人ひとりに適したオーダーメイドの食事をご提案。また、患者様やご家族様への栄養指導により、退院後の食事に対する疑問や不安の解消をサポートしております。

  • 理学療法士(PT)

    医師の診断・指示のもと、病気やけがにより生じた身体の障害や運動能力の低下を改善し、「寝返りをうつ」「起き上がる」「立ち上がる」「歩く」「階段」といった基本動作の再獲得を目指します。

  • 作業療法士(OT)

    身体的、精神的に障害を負った方々に対し、ご自身で生活ができるようになるよう、「トイレをする」「着替えをする」「入浴をする」「家事をする」「仕事・趣味活動をする」というように、日常生活動作や仕事、趣味などの作業活動の訓練を行い、身体の諸機能の再獲得を図ります。

  • 言語聴覚士(ST)

    言語や聴力、嚥下機能に関わる障害に対して、個別に提供する機能訓練により、障害の回復をめざします。専門的なプログラムを通じて、退院後の円滑な言語的なコミュニケーションに向けたサポートを行います。

  • 看護補助者

    食事・入浴・排泄などの生活全般にわたり、入院中の介護に携わります。また、ご家族様に介護・介助に関するアドバイスを提供するなど、退院後の在宅生活や介護面の安心をサポートしております。患者様の自立や介護をするご家族様にとって、看護補助者は身近な存在ともいえます。

  • 医療ソーシャルワーカー

    医師・看護師・リハビリスタッフ・ご家族様と連携し、患者様の不安や精神面をサポートいたします。また、社会福祉制度や各種サービスのご紹介、諸手続きなども親身になって寄り添い、退院後の在宅・社会復帰のフォローも可能です。患者様が抱えるお悩みや問題の解決を一緒にめざします。

  • 薬剤師

    お薬の種類や量、飲み合わせ、副作用などに細心の注意を払った調剤をします。特に持病のある患者様へは、医師と相談した上で服用中のお薬を継続するかどうか、種類や量の変更も調整します。薬物療法全体に携わり、患者様の治療や回復をサポートしております。

退院後のサポート・流れ

地域包括ケアシステム